雪の降り積もる北の森
それは白銀の世界
何もない
音も吸い込まれる
静かな
虚無の世界
それは
『あの雪の日』のようだった
月と太陽の物語
「さ…寒い…!!」
北の森は年中冬のような寒さで、天候は雪か曇り。太陽が出ることはない。
ここには多くの氷タイプのポケモンが原型、人型ともに生息している。
氷タイプにとっては最高の場所だからである。
…もちろん、日の光を好む草タイプのポケモンにとっては最悪な土地条件だが。
「でも良かったね!今日は雪が降ってないよ!」
「これで雪まで降られたら本当に動けなくなるところだったわ…」
「こんな寒さなんて全然余裕だぜ!」
「アンタ頭おかしいんじゃないの…?こんな雪に囲まれた森の中でタンクトップ一枚とか…
見てるこっちが寒いわよ…」
確かに、ウィルのタンクトップ一枚という服装は見ている方が寒くなりそうな格好であった…
「…………」
そんな中、ルナは真っ白な世界を見つめて『あの雪の日』のことを思い出していた。
雪の中で叫ぶ両親
連れていかれる幼い頃の兄
そして
何も出来ず、ただ泣きじゃくって
何の罰も与えられず
一人になった
無力で幼い昔の自分
「……っ!」
フラッシュバックを起こして足元が少しふらついた、
しかしそのおかげでルナの遠い意識は一気に現実世界へと引き戻された。
「ルナちゃん!?どうしたの!?」
それに気がついたサニーはルナのもとへと駆け寄る
「すみません…俺は大丈夫です……それよりも、兄さんは大丈夫ですか…?」
「ルナちゃん…もしかして『あの日』のことを思い出したの…?」
「…すみません、自分が不甲斐無いばかりに……」
「ねぇ、ルナちゃん…ボクはもう大丈夫だよ?だからルナちゃんも…もう忘れていいんだよ?
誰もキミを責めないし、キミは何も悪くない…それに、今こうしてボクがここにいて、ルナちゃんや
リリィちゃん、それにウィルくんと一緒にいることができるのも、全部ルナちゃんのおかげなんだ…」
「…今度は何があっても守ります。絶対に…守りますから…」
兄に向けられる妹の言葉一つひとつが
全て懺悔の言葉のよう
いつからか、こんな言葉しか言えなくなってしまった
『守ります』と繰り返す懺悔
それは暗く沈んだ月のよう
「あ…あの…お取り込み中大変申し訳ないんだけど…も…もうそろそろ…私限界なんで…」
リリィはガクガク震えていて顔色は真っ青、本当に極限状態のようだ。
「は…早く任務を…終わらせましょう……」
「あ、そうだね…!ごめんねリリィちゃん!大丈夫!?」
「そ…それにしても…おかしいわよ…!どうしてこんな寒いところにアリスは来たのよ…!!」
「確かになぁ…ミミロップってノーマルタイプだよな?好き好んでこんなとこ来るとは思えないが…」
「とりあえず森の中に行ってみよ!」
「行きたくないけど…しょうがないわよね……」
そして四人は雪深い森の中へと入っていった
それを見ている影にも気づかず…