アリス捜索開始から随分な時間が経った
しかし一向に見つかる気配なし
手がかりさえも何もない
リリィはだいぶ不機嫌
ウィルは戦いたくてウズウズ
ルナは全く興味なし
サニーは心配してオロオロ
こんなことで無事アリスを救出できるのだろうか…
月と太陽の物語
「全然見つからないじゃないの!!だから捜索依頼は嫌いなのよーっ!!」
「早く敵かなんか出てこないかなぁ?思いっきり戦いてぇー!」
「…………」
「アリスちゃん…大丈夫かな?大変な事件に巻き込まれてなければいいけど…」
四人はとにかくアリスの事務所近くの街と、アリスの行きそうな場所を探していた。
しかし、アイドル行方不明という事実は世間に知られたくないと依頼者側の頼みがあるので
そこら辺の人に目撃したかどうかなどは尋ねられない。
「依頼者も依頼者よっ!なんの手がかりもなしに探せってのは無理があるでしょう!
事務所に届いた目撃情報とかないわけっ!?」
「あ、そういえばそんなもんがあったなぁ」
「…は?」
「ホラ、これ」
そう言うと、ウィルはポケットから一枚の紙を取り出した。
そこにはアリスの目撃情報が書かれていた。
「ちょっ…!?こんなもの一体どこで!?」
「出発する前に司令官のオッチャンに渡された」
「バカ恐竜!!!なんでそんな大事なこと早く言わなかったのよーっ!!!!」
「ごめん、ポケットに入れたまま忘れてた☆」
「エナジーボールッッ!!!!!」
「ウギャアアァァァッ!!!!」
最高潮に不機嫌なリリィの怒りのエナジーボールが見事ウィルにクリティカルヒット
「こんの馬鹿がぁぁああ!!!!今までの苦労は…この無駄な捜索時間はなんだったっていうのよーっ!!!
目撃情報なしでしかも秘密に遂行しなくちゃいけないから情報も聞きだせずにただ勘で探すなんて
無謀かつめんどくさい行動を約五時間っ!!しかもルナは何もしようとしないし、どっかのバカは
戦いたい戦いたいってスゲェウザイし…!!そんなに戦いたきゃ私が今この場でアンタの骨の髄まで
植物に寄生させてやろうかっ!?大体なんで司令官もこのバカにこんな大切な紙を渡すのよっ!!!」
怒り狂ったリリィは白目向いてるウィルをブンブン振り回して絶叫していた。
まさにそれは地獄絵図に出てきそうな鬼そのものである…
「り…リリィちゃん、落ち着いて…!と、とりあえずその紙になんて書かれてたのか…」
「それもそうね、さっさと任務を終わらせてその後あのバカをなぶり殺すとするわ」
少し落ち着いたリリィはウィルを地面に叩きつけてから紙に目を通した。
これは数日前に目撃された情報です。
何か皆様のお役に立てれば…と思い情報の提供をさせていただきます。
我が事務所のアリス疾走後、数時間後に事務所のほうに連絡が入りました。
場所は北の森付近、その時はアリス一人だったそうで、他に不審者は見られなかったようです。
この目撃者は一般の方でしたのでそれ以外に深い報告はありませんでした。
目撃情報はこの一件しかありません。
事務所の方でも探したのですがやはり見つからなく、今回は依頼をさせていただきました。
一人でいたことからやはり誘拐ではないようです。
アリス疾走が他の一般の方に知られてしまうと、マスコミなどが来てしまい事態が大きくなってしまいますので
何卒、内密にお願いします。
「なるほどねぇ…北の森…」
「どうしたの?リリィちゃん、顔色悪いよ?」
「北の森って…寒いのよね…」
「そうかなぁ?たまーに雪が降るくらいだからそんなに寒くないよ?」
「氷タイプの感性と一緒にしないでほしいわ!!私は草タイプなのよ!?寒いのが大嫌いなのっ!!」
リリィは草タイプなので寒いところはかなり苦手だった。
特に日の光が当たらない北の森は苦手所である。
「でも行くしかないよね?」
「まぁ…そうなんだけど……なんていうか…」
「大丈夫だよ!頑張ろう!!」
「頑張るっちゃ頑張るけど…私、寒いところだと動きが鈍くなるのよ…技のキレも落ちるし…
だからもしかしたら足引っ張ることになるかもしれないから……そしたらごめんなさい…」
いつも強気で怖いもの無しのリリィが驚くほど弱気になっていた。
あのヒステリック女王様な彼女が、今は見違えるように静かで微かに震えているようだった。
「リリィちゃん……あ、そうだ!!」
サニーは白目向いたまま生き返りそうにないボロボロのウィルの身体をズルズルと引きずってきた
「ウィルくんは炎タイプだから体温が高くて温かいんだよ!だからウィルくんに抱きついてれば―――…」
「ごめん、それだったら凍え死ぬ方が数千兆マシだわ」
その言葉にピクリと反応してウィルが生き返った
「その言葉ぁ…そのまんまお前に返すぜ…!お前みたいな史上最恐凶暴恐悪殺人マシーンなんかに抱きつかれたら
それこそ地獄だ…!!ていうかさっきマジで三途の川っていうものを見たぞ!渡りそうになったし!!」
「誰が史上最恐凶暴恐悪年増性悪殺人核兵器だっっ!!?今度こそ三途の川を渡らせてあげようかしら…!?」
「い、いくらなんでもそこまで俺は言ってないからっ!!三途の川も今度こそ渡りそうでマジで怖いからっ!!
…つーかそんだけの元気がありゃ北の森なんか軽いだろうよ?寒さくらいで動けなくなるなんてお前らしくねぇって」
「バカ恐竜…!?」
「まぁもしお前が動けなくなったとしても戦力的には最強の俺様がいるから特に問題ねぇけどな」
「そうだよ!リリィちゃんは一人じゃないんだよ!みんながいるから大丈夫だよ!
ボクも頑張るから!ウィルくんだって、ルナちゃんだっているんだから!!
ねっ、だからそんなに落ち込まないで?みんなで一緒に頑張ってアリスちゃんを見つけようね!!」
「…………」
「サニー…」
サニーは太陽のような明るい笑顔を見せた。
「…そうね、寒さくらいでこのリリィ様が弱気になるなんてどうかしてたわっ!!
もう北の森がなんだ!雪がなんだ!!寒さがなんだぁ!!!草タイプの意地を見せてやるわっ!!」
「よしっ!それじゃ早速目撃情報があった北の森へ行ってみるかぁ!!!」
「アリスちゃんを見つけるぞー!!」
「…………」
こうして、S隊の四人はアリスが目撃されたという北の森へと向かった