結局ルナは部屋に帰ってこなかった
あの後どこで寝たのかしら
ホントに外で…?
…まぁ、本人がそうしたいのなら仕方がないわよね
それはともかく
今日は私達の小隊で初めての任務
何も起こらなければいいけど
…多分無理ね
月と太陽の物語
「諸君、昨夜はバッチリ眠れたかね?」
「うん♪ぐっすりだよ!ね、ウィルくん!!」
「アハハハ、グッスリグッスリユカイツウカイアハハハハ…」
バカ恐竜の目の下にはクマがハッキリと見える。
しかも喋り方がいつもより余計にバカっぽい。
あのバカのことだから女装した男相手に変な気でも起こしそうになったのね…。
「ルナちゃんは?リリィちゃんと寝たの?」
「俺は外で寝ました」
「い、言っておくけど私が追い出したわけじゃないわよ!?ルナが勝手に…!」
「ひっでぇ〜!自分の寝る所とられるのが嫌で追い出したのかよ〜!」
「だから違うって言ってんでしょ!!アンタこそ女装男相手に変な気起こして眠れなかったんでしょ!?」
「ばっ…違っ…!!!!」
「…キサマ、兄さんに何かしたのか……?」
「なっ…何もしてねぇよっ!!」
「そうだよ!ウィルくんは何もしてないよ!一緒に寝ただけで…!」
「一緒に寝たっ!?アンタ…いくらモテなくて欲求不満だからって…!!!」
「おいっ!なんか意味が違うぞ!?そーゆー『寝た』じゃなくて単純に添い寝っていうか…
あっ!誤解するなよっ!?俺が望んだわけじゃなくてだなぁ!サニーの馬鹿力で無理やり俺は…!!」
あーあーあー、必死になって弁解してる姿もバカ丸出しね…
まったく…バカが何を言っても説得力の欠片すらないわよ。
「テメェ聞いてないだろ!?」
「それより、早く任務の依頼を教えてくださいな司令官」
「シカトか!?俺シカトされてんのかっ!?」
「そうだな、では諸君らS隊にはランクDの依頼を受けてもらおう」
「S隊…?」
「S隊ってのは私達の小隊よ。小隊はA〜Zまでの名前が付けられるの。
別に強さによって分けてるわけじゃないから、まぁ、順番って感じかしらね」
「そうなんだ!なんかS隊っていいね!」
「スーパー、スペシャル、素晴らしい、のSだなっ!!」
意味わかんないわよ!なんで最後だけ言葉違うのよ!!というツッコミはあえて言わないでおこう。
「それで、その任務内容は?」
「捜索だ。数日前からアリスという種族ミミロップ人型の少女が行方不明になっている。
その少女を探し、保護してほしいという依頼だ」
「アリスって…もしかしてあのアイドルのアリスかっ!?」
「そうだ。よくテレビや雑誌にも出ているから顔はわかるだろう?」
「マジか!!ラッキー!あのアリスちゃんと会えるのかぁ!!」
ん?ちょっと待って…?
アイドル行方不明って、身代金目的に誘拐されるケースが多いけど…それだったらランクDではないはず…
「司令官、アイドルの行方不明っていうのは身代金目的の誘拐ということも考えられるんじゃない?
そしたらこれはランクDの捜索依頼じゃないわよ?書類間違ってない?」
もしこれが誘拐事件だったとしたら、あそこまで売れているアイドルをただの人が誘拐できるわけがない。
ボディーガードもついてるだろうし、セキュリティ完璧なところに住んでるはずだし…。
そうなるとこれは大きな組織が関わっている可能性があるわね…
ここまでくるとランクBくらいの依頼だわ。
「そのことなのだが、普通だったらこの依頼はもっとランクは上だ。
しかし、事務所の話ではアリスは仕事をサボるために度々逃げ出すそうだ。
今回も多分アリスが自ら脱走したものだと思われる。
ただ、いつもだったらすぐ見つかるはずだが今回は中々見つからないからということで依頼したようだ。
だからこの依頼は誘拐ではないと推測し、ランクDの捜索依頼に分類した」
「まぁ、自分から逃げ出してるっていう前例があればね…」
「そういうわけだ。もし何かあったらすぐに連絡をするように」
「オッケー!俺達スーパースペシャル素晴らしいS隊に任せろってんだ!!」
バカの戯言は無視をして…
今回のS隊初任務…果たしてうまく片付けることができるのかしら…?
ルナは敵意剥き出しだし、サニーは頼りにならなそうだし、きわめつけはあのバカ恐竜よっ!!!
どう考えてもまともな任務ができるとは思えないんですけど
「では諸君、初任務の健闘を祈る!!」
『ハイッ!!』
……元気良く挨拶したものの、正直不安だらけよ…