僕は分家
君は本家
それだけで
そんな理由で
僕は君の玩具としてしか生きられない
どうして?
同じ種族なのに
桜の夢
「初めまして、麗様」
僕は分家に生まれた夢幻
そして君は本家に生まれた麗
分家は本家には逆らえない、絶対に。
本家の人が死ねと言えば分家の人は死ぬしかない。
それと同様に、分家に生まれた僕は本家の言いなりになるしかないのだ。
それが運命という残酷な仕組み
僕の役目は本家の一人息子である麗という人物を守ること
『友達』として常に傍にいて護衛をするのが僕の役目
僕はそのために生まれてきた
いや、そのためだけに生んでもらった
僕の意思とは無関係に
「僕は、貴方とお友達になるためにやって来ました」
生まれた時からこうなる運命だった
これは『偶然』ではない、最初から決まっていた『必然』
僕は今まで、麗様の護衛をするためだけの『モノ』だった
誰も僕を人として見ていなかった
僕はただの『モノ』なのだ
そう、僕は本家の玩具
「ほ…本当に、拙者と友達になってくれるのか…!?」
何も知らないとは幸せなことなのだろう
目を輝かせて問う君を心の中で憎みながら、教えられたとおりの返答をする
「そうですよ、そのために僕がいるのですから…」
そこに僕の意思はない
「拙者…同じ年頃の子供に会ったことがないし、遊んだこともない…!!
だから…今ここに貴殿がいることが…本当に嬉しい…っ!!」
嬉しい……か
そんな感情、持ったこともない
何が嬉しくて
何が嬉しくないことなのかも判らない
とにかく、今の僕は嬉しくないという感情だと思う
貴方に会うために産まれて 貴方のために生きた 僕は『僕』を捨てて
そして、僕に捨てられた『僕』は貴方をずっと憎んでいた
しかしそんなことは関係ない
そこに僕の意思など ありはしないのだから
「友達になってくれてありがとう…!」
勝手にそう思ってればいいさ
僕は本当に君の友達になる気なんて全然無いんだからね
確かに『分家の夢幻』は君の友達かもしれない
だけど『僕』は違う
『僕』はいつも心の奥、誰も知らない場所でただ願う
――――― いつか 絶対に 壊してやる ―――――
もう二度と 人を信じられなくなるくらいに 壊してやる
その目の輝きも 深い闇に堕ちればいいさ